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ストレートアスファルトの価格が変動する理由

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ストレートアスファルトの価格が変動する理由を知りたい…。

ストアスの価格が変動する主な理由

  • 原油価格の動向
  • 石油精製施設の生産量
  • 日本国内におけるアスファルトの需要
  • 海外との輸出入量(需要と供給)
  • 人手不足による輸送コストの増加
アスファルトの種類

原油価格の変動に相関がある

ストレートアスファルトは、ガソリンなどを作る石油精製の過程で生産されるため、原油価格に影響を受けやすい特徴があります。

ストレートアスファルトと軽油価格の相関

上図は、"ストレートアスファルト価格"と原油からつくられる"軽油価格"の動向を示しています。

おおむね類似した動きを見せていて、軽油価格がストレートアスファルト価格より先行して動いていることがわかります。

つまり原油(軽油)価格が上昇すると、遅れてストレートアスファルト価格が上昇し、逆に原油(軽油)価格が下落すると、遅れてストレートアスファルト価格も下落するイメージですね。

以上より、ストレートアスファルト価格の短期動向を把握するためには、原油価格の動きを見るのがポイントです。

石油精製施設の生産量

ストレートアスファルトは、ガソリンなどを作る石油精製の過程で生産されるため、石油精製施設の生産稼働率が減少すると、ストレートアスファルト生産の絶対量が減少します。

仮にストレートアスファルトの需要が増加していなくても、供給量が減少することで相対的に需要が供給を上回り、価格が上昇する要因となります。

アスファルトの生産量

上図は、日本国内におけるアスファルトの生産量を示しています。

アスファルトの生産量は年々減少していることがわかります。

日本国内の建設需要も減少傾向にあるものの、同時に生産量が減少しているため、長期的にみるとストレートアスファルト価格は下がりにくいと考えられますね。

下記のように政府の政策や公的機関の規制によって生産構造が影響を受けています。

  • 2009年|エネルギー供給構造高度化法
  • 2020年|国際海事機関(IMO)による船舶燃料の環境規制

上記の影響で石油精製施設の装置改修が進み、以前よりもアスファルトの生産量が構造的に落ちる結果となっています。(アスファルトは石油精製の残さで造られるため)

日本国内におけるアスファルトの需要

アスファルトの国内販売量

上図は、ストレートアスファルト国内販売量の推移を示しています。

2017年頃まで国内販売量は減少傾向で推移していましたが、その後は増減を繰り返し、おおむね横ばい基調で推移していることがわかります。

石油精製施設の生産量」で示したように、国内生産量が減少傾向にあるなか、国内販売量(需要)が減少していないため、需要>供給の傾向にあるといえます。

上図のグラフで見ると、生産量に対する販売量は2007年~2017年頃まで60~70%で推移していましたが、2020年~2021年は80%の水準に達していますね。

海外との輸出入量(需要と供給)

ストレートアスファルトの海外輸出入量も価格に影響をあたえます。

アスファルトの種類

以下の輸出入量のデータは、上図における"石油アスファルト"の数値を算出しています。

輸出量

石油アスファルト輸出量の推移

上図は、ストレートアスファルトが含まれる"石油アスファルト"輸出量の推移を示しています。

2018年以降、輸出量は減少が続いており、日本国内の需要に対する影響は軽微といえます。

また中国への輸出量が大半を占めていることもわかりますね。

輸入量

石油アスファルト輸入量の推移

上図は、ストレートアスファルトが含まれる"石油アスファルト"輸入量の推移を示しています。

輸入量は2017年以降、減少が続いておりますが、輸出量と比べると総量が多く需要に対する影響が大きいといえますね。

また韓国からの輸入量が約99%の水準を占めています。

ストレートアスファルトの価格動向

以下では、過去のストレートアスファルト価格動向と、価格が変動した主な理由を解説します。

ストレートアスファルトの価格動向

上図に示すとおり、ストレートアスファルトの価格は2019年5月頃から下落し始め、2020年8月~10月には58,000円/tの水準まで下落しました。(参照:建設物価調査会)

その後、2020年11月より上昇し始め、2022年8月~10月には123,000円/tの水準まで上昇しました。

新型コロナウイルス感染流行が続き、需要が低迷するなかで価格は+112%も上昇したのです。(2年間で約2.1倍の上昇

アスファルトの需要が増加していない中で、大きな価格上昇を引き起こした主な理由は下記のとおりです。

  • 中国からのアスファルト需要が増加し、日本の主要な輸入元である韓国のアスファルトが中国へ多く流れた
  • 2020年以降、輸入量が大幅に減少した。(2019年→2020年:石油アスファルトの輸入量は約25%減
  • 国際海事期間(IMO)による環境規制強化の影響で、日本や韓国におけるアスファルトの生産が減少している。
  • コロナ禍による外出自粛・航空需要の減少により燃料の需要が減少、石油精製施設の稼働率が減少し、アスファルトの生産量が減少した。
  • 生産量が減少している一方で、日本国内のアスファルトは底堅い需要があった。
  • 原料となる原油価格が高騰した。

以上のように、原料となる原油価格が高騰した点に加え、供給量が減少したのが、ストレートアスファルトの価格高騰を引き起こした主な要因でした。

まとめ

以上がストレートアスファルト価格が変動する主な理由でした。

基本的に原油価格に連動して動く傾向があり、近年は生産量の減少も価格に大きな影響をあたえています。

国内の需要に対して輸入品が占める割合も大きく、輸入元の韓国の動向を把握するのもポイントです。

アスファルト価格変動を見るポイント

  • 原油価格の動向
  • 舗装工事を中心とした国内の需要
  • 石油精製施設の生産量(政策による規制)
  • 輸出先の中国の動向
  • 輸入元の韓国の動向

【参考資料】

  • 日本経済新聞

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