本記事では大手21社ゼネコンを対象に、近年の従業員1人あたり売上高の推移を把握します。
従業員1人あたりの売上高をみることで、平均で1人がいくら稼いでいるのか、つまり会社の生産性を計ることができます。
本記事での「大手21社ゼネコン」の対象は下記のとおりです。
大手5社 | 清水建設・鹿島建設・大成建設・大林組・竹中工務店 |
準大手8社 | 長谷工・五洋建設・戸田建設・西松建設・三井住友建設・安藤ハザマ・熊谷組・東急建設 |
中堅8社 | 奥村組・鉄建建設・東亜建設工業・東洋建設・淺沼組・銭高組・飛島建設・大豊建設 |
大手21社ゼネコン
上図は、大手21社の従業員1人あたり売上高の推移を、ゼネコン売上規模別に示しています。
売上規模の大きな「大手5社ゼネコン(スーパーゼネコン)」は、従業員1人あたりの売上高も"準大手"や"中堅"と比べて大きいことがわかります。
一方で「準大手8社ゼネコン」は「大手5社」に近い水準で推移しています。
「中堅8社ゼネコン」は「大手5社」「準大手8社」と比べて従業員1人あたりの売上高が小さく、生産性が低くなっています。
売上規模の大きい会社の方が従業員の給与水準が高い理由がよくわかる結果ですね。
1人あたりの売上高が大きいということは、それだけ給与に反映できる余裕があるのです。
大手5社
「大手5社」とは、"スーパーゼネコン"と呼ばれる売上高が1兆円を超えるゼネコンです。
上図は、大手5社の従業員1人あたり売上高の推移を示しています。
大手5社のなかでは「鹿島建設」が最も大きく、「清水建設」が最も小さいことがわかります。
清水建設の1人あたり売上高が小さいのは、従業員数が最も多いゼネコンであることが理由と考えられます。
準大手8社
「準大手」とは、スーパーゼネコンの次に売上規模の大きいゼネコンで、本記事では売上高3,000億円以上を目安に選定しています。
※前田建設工業は2021年に共同株式移転によりインフロニア・ホールディングスへと統合されたため、本記事では除外。
上図は、準大手8社の従業員1人あたり売上高の推移を示しています。
1人あたり売上高は「長谷工」が頭ひとつぬけて大きいことがわかります。
長谷工はマンション建設に特化した会社でノウハウが多く蓄積されているため、生産性が高いと考えられます。
中堅8社
「中堅」とは、準大手ゼネコンの次に売上規模の大きいゼネコンで、本記事では売上高1,000億円以上を目安に選定しています。
上図は、中堅8社の従業員1人あたり売上高の推移を示しています。
2010年度~2015年度は、どの会社も増加傾向で推移しており、2016年度以降は各会社によって増減の特色が異なるのがわかります。
「銭高組」は2019年度まで高い水準で推移していたものの、2020年度~2021年度に大きく減少、一方で「東亜建設工業」は2021年度に大きく増加、中堅でトップの水準となっています。
【参考資料】
- 各社の有価証券報告書
本記事は、一級建築士であり設計・積算・工事監理から建築コストコンサルの経験がある著者が、第三者の立場から考察した記事です。