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大手21社ゼネコン従業員数の動向

大手21社ゼネコンの従業員数

本記事では大手21社ゼネコンを対象に、近年の従業員数の推移を把握します。

日本国内では人口減少が進んでおり、建設業の就業者数も減少が続いています。

では全体の母数が減っているなか、建設業のトップに位置する大手ゼネコンの従業員数の状況はどうなのか?見ていきましょう。

建設業就業者数の推移

建設業就業者数の推移

まずは上図で建設業就業者数の推移を確認します。

建設業就業者数は1997年にピークを迎え685万人となり、その後は大きく減少傾向へ。

世界的な大不況を引き起こした"リーマンショック"後の2010年には、504万人の水準まで減少しました。

2011年以降は、東日本大震災の復興需要や安倍晋三政権によるアベノミクス、東京2020オリンピックに向けた需要などの影響で、2019年まで建設需要は増加傾向が続きました。

そのため2011年~2019年の建設業就業者数は微減傾向で推移、2020年以降は新型コロナウイルス感染流行の影響もあり、2022年には479万人の水準まで減少しています。

大手5社ゼネコンの従業員数

「大手5社」とは、"スーパーゼネコン"と呼ばれる売上高が1兆円を超えるゼネコンです。

大手5社ゼネコンの従業員数

上図は、大手5社の従業員数の推移を示しています。

建設業全体の就業者数が減少しているなか、大手5社の従業員数は横ばいから微増傾向にあるのがわかりますね。

準大手8社ゼネコンの従業員数

「準大手」とは、スーパーゼネコンの次に売上規模の大きいゼネコンで、本記事では売上高3,000億円以上を目安に選定しています。

※前田建設工業は2021年に共同株式移転によりインフロニア・ホールディングスへと統合されたため、本記事では除外。

準大手8社ゼネコンの従業員数

上図は、準大手8社の従業員数の推移を示しています。

2020年度、2021年度と減少している「安藤ハザマ」「長谷工」を除き、6社の従業員数が増加傾向にあるのがわかります。

安藤ハザマ」の従業員数が2013年度に大幅増加しているのは、2013年に"安藤建設"と"間組"が合併したためです。

準大手8社のなかでは「戸田建設」の従業員数が圧倒的に多く、2015年度以降、毎年徐々に増加していますね。

2020年度~2021年度は、「安藤ハザマ」の従業員数は大きく減少し、「五洋建設」は大幅に増加していることで、両社の従業員数は現在近い水準となっています。

中堅8社ゼネコンの従業員数

「中堅」とは、準大手ゼネコンの次に売上規模の大きいゼネコンで、本記事では売上高1,000億円以上を目安に選定しています。

中堅8社ゼネコンの従業員数

上図は、中堅8社の従業員数の推移を示しています。

中堅は、各会社で増減はあるものの、全体的にみるとここ5年程は安定して推移していることがわかります。

大手21社ゼネコンの従業員数

最後に「大手5社」「準大手8社」「中堅8社」をまとめて「大手21社」として従業員数の推移を見てみましょう。

大手21社ゼネコンの従業員数

上図は、大手21社ゼネコン合計の従業員数の推移を示しています。

2015年度以降は「大手5社」「準大手8社」「中堅8社」すべて従業員数が増加しており、全体としても緩やかに右肩上がりで推移しています。

まとめ

「大手21社」従業員数の推移をみると、個別には減少している会社もありますが、全体として近年は従業員数が増加しているのがわかりました。

建設業全体の就業者数が減少傾向にあっても、比較的労働条件の良い大手企業は人材が確保しやすいといえますね。


【参考資料】

  • 各ゼネコンの有価証券報告書

本記事は、一級建築士であり設計・積算・工事監理から建築コストコンサルの経験がある著者が、第三者の立場から考察した記事です。

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